野村総合研究所が2025年2月に公開したレポート1)によると、2023年の日本の富裕層・超富裕層の世帯数は前回調査(2021年)から11.3%増加し、合計約165万世帯となった。これは全体の約3%に当たる。では、医師のなかに富裕層・超富裕層はどれくらいいるのだろうか。そこで、CareNet.comでは20~60代の医師1,005人を対象に、世帯年収・純金融資産額に関するアンケート調査を実施した(2025年7月27日~8月2日実施)。本アンケート調査では、世帯年収と純金融資産額を調査し、富裕層・超富裕層の割合を算出した。また、資産運用の成功/失敗のエピソードも募集した。
世帯年収1,400万円以上は53.1%、3,000万円以上は16.1%
野村総合研究所が2025年2月に公開したレポート
1)では、共働きで
世帯年収1,500万円以上の家庭を「
パワーファミリー」、都市部居住の共働きで
世帯年収3,000万円以上の家庭を「
スーパーパワーファミリー」としている。
では、医師の世帯ではどうだろうか。CareNet.comが実施したアンケート調査では、世帯年収1,400~3,000万円が49.8%、3,000万円以上が10.8%であった。この数字には、既婚かつ片働きの世帯(431人)や独身世帯(177人)が含まれている。そこで、共働き世帯(397人)に絞ってみると、世帯年収1,400~3,000万円が53.1%、3,000万円以上が16.1%であった。すなわち、共働き世帯のうちパワーファミリー相当は7割近くに上り、スーパーパワーファミリー相当も2割弱ということになる。
富裕層・超富裕層は約13%
次に、世帯の純金融資産保有額
※について聞いた。富裕層・超富裕層は純金融資産保有額に基づいて定義され、
富裕層は「1億円以上5億円未満」、超富裕層は「5億円以上」である。野村総合研究所のレポート
1)では、日本の富裕層は153.5万世帯(2.8%)、超富裕層は11.8万世帯(0.2%)とされている。
こちらも医師の世帯をみてみると、富裕層に当たる「1億円以上5億円未満」は11.2%、超富裕層に当たる「5億円以上」は2.0%であった。富裕層と超富裕層を合わせると13.2%に上り、日本全体の3.0%を大きく上回った。
富裕層・超富裕層の割合を開業医・勤務医別にみると、開業医では19.3%、勤務医では7.2%であり、開業医が高かった。また、共働き世帯は富裕層・超富裕層の割合が高く17.2%であった。片働き世帯は10.4%、独身世帯は11.3%であった。年代別にみると、年代が上がるほど富裕層・超富裕層の割合が高く、60代では18.3%に上った。
※ 純金融資産は、現金・預金や株式などの金融資産総額から住宅ローンなどの負債総額を差し引いたものを指す。不動産や車などは含まない。
資産運用の実施、20~40代は7割超
資産運用の実施状況を聞いた。その結果、運用中と回答した割合は、全体では64.7%であった。しかし、年代別にみると20代、30代、40代がそれぞれ71.4%、78.5%、75.6%と高かった一方で、50代、60代はそれぞれ55.1%、54.7%と低い傾向にあった。また、50代、60代の3割超が、資産運用を一度も実施したことがないと回答した。
日本株、オルカンやS&P500などの投資信託が人気
資産運用の内訳をみると、運用対象は「日本株」が最も多く(60.0%)、次いで「投資信託/ETF(全世界):オールカントリーなど」(46.7%)、「投資信託/ETF(米国):S&P500など」(43.8%)であった。不動産(12.4%)、金・プラチナ(12.4%)、暗号資産(8.4%)なども一定数を占めた。
また、「投資・資産運用の成功/失敗エピソード」を募集したところ、成功例として「新型コロナ流行期の押し目買い」「S&P500の長期積立」「ドルコスト平均法」などが挙げられた。一方、失敗例としては「証券会社や銀行の勧誘で購入した商品の暴落」「FXなどでの大損」「株式を保有していた会社の倒産」などが目立った。
【成功エピソード】
・コロナショックの時、日本株を買いあさって、5,000万円の含み益がある(50代、腎臓内科)
・駅直結の新築マンションを購入したら、期待通りに値上がりした(50代、その他)
・S&P500を堅実に積み立てており、元本の倍くらいになっている(40代、精神科)
・2022年ごろから、ひたすらドルコスト平均法。失敗は感じていない(20代、眼科)
【失敗エピソード】
・証券会社に勤める患者さんに勧められて人生で初めて購入した株があっという間に値下がりし、現在は100分の1になっている。その患者さんは来なくなった(50代、内科)
・投資会社に勧められた株を買ったあと暴落した。すぐに損切りしてしまったが、その後10年経って株価が上がった。塩漬けでも持っておけばよかったと思った(60代、糖尿病・代謝・内分泌内科)
・FXなどで一瞬で5,000万円くらい溶かしたことがあるので、リスクの高い投資は行わないようにしている(50代、産婦人科)
・トルコリラの投資をしたら1/3になった(50代、泌尿器科)
・株式を保有していた会社が倒産した(60代、内科)
・研修医時代にワンルームマンションに投資。売却したがとんとんだった。苦労のほうが多い(40代、皮膚科)
・最近株を盗まれた(60代、腎臓内科)
・かなり前に株で大損して(2,000万円くらい)以後株の世界から足を洗った(60代、内科)
・いつも損ばかり(60代、内科)
【その他のエピソード】
・知らないものには手を出さない(40代、内科)
・投資信託に現金を使い過ぎて、給料日まで現金がギリギリとなり、ひもじい日々を過ごした(30代、放射線科)
・株を買ったら買いっぱなし。その後の株価を見ることもない(60代、泌尿器科)
・損失が怖くて大きなお金は株式投資できない(40代、脳神経外科)
アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。
医師の世帯年収・資産はどれくらい?/医師1,000人アンケート
(ケアネット 佐藤 亮)
■参考文献・参考サイトはこちら
1)株式会社野村総合研究所ニュースリリース(2025年2月13日)
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